「アマゾンとベゾスの未来」by「プレジデントオンライン公開インタビュー×Clubhouse」実施

昨日2月3日(水)21時15分から22時40分の85分間にわたって、Clubhouseにおいてプレジデントオンライン星野貴彦編集長による公開インタビュー及び有識者とのディスカッションを「アマゾンのジェフ・ベゾスは退任して何を目指すのか?—アマゾンとベゾスの未来」との演題で行いました。

有識者のゲストとしては、以下の方々にご参加いただきました。

アマゾンジャパン創業者で富士山マガジンサービス社長の西野伸一郎さん

元アマゾンのカリスマバイヤーで日本一のビジネス書評家、土井英司さん、

アマゾンに詳しい物流専門家の角井亮一さん

グーグル・アジアパシフィック元人財組織開発責任者のピヨートル・グチバチさん

中国BATの一社、バイドウ本社海外部門総責任者兼日本代表の張成換さん

マーケッターの牛窪恵さん

住友生命で新規事業・スタートアップ投資の執行役員である藤本宏樹さん

まず初めに、私から昨日のアマゾンのジェフ・ベゾスCEOの退任発表に際して、以下のようなお話しをさせていただきました。

*ベゾス氏の退任は残念ではあるものの、最高益を記録したタイミングでの発表は潔く、また次の優先事項に「果敢に挑戦する」ことに期待したい。

*昨日公表された社員へのEメールの中では、CEO退任後(会長就任後)何をやるのかが明記されている。ベゾス氏は予ねてから文章における順番を大切にしており、そこでの順番は彼の優先順位を物語るものとして注目できる。

*その順番及び内容とは、「エグゼクティブチェアとして、私は引き続き重要なアマゾンのイニシアチブに従事しますが、Day1基金、ベゾス地球基金、宇宙事業のブルーオリジン、ワシントンポスト、その他の情熱を傾けるものに必要な時間とエネルギーを集中したいと思います。私はCEOの責務を含めてこれらを全てやり切るエネルギーを持っていませんでした。だから、これは引退ではないのです。私はこれらの活動がもたらす影響力に大きな情熱を注いでいきます。」というもの。

*アマゾンについては、2017年に『アマゾンが描く2022年の世界」(PHP)、2018年に『2022年の次世代自動車産業』(PHP)、2019年に『アマゾン銀行が誕生する日』(日経BP社)等を刊行し、長年にわたってベゾス氏をWatchしてきた自分であるが、昨日の退任発表を起点として振り返って見ると、2019年1月のマッケンジー・スコット氏との離婚発表や同年9月のClimate Pledgeへのサインが大きな分岐点になったのではないかと分析している。

*2017年の『アマゾンが描く2022年の世界」(PHP)において、「第7章:ベゾスは真の顧客第一主義者か、それとも利己主義者か」で詳しく分析した通り、アマゾン及びベゾス氏は、最近に至るまでCSRランキング、ESGランキング等の評価が極めて低く、またビルゲイツやバフェットといった資産家と比較して寄付・慈善活動への投資が少ないことなどで批判を浴びてきた。そんななかでマッケンジー・スコット氏は離婚手続き成立の翌月となる2019年5月に185億ドルにも及ぶ寄付を行いその後も積極的に慈善活動を行っている。ベゾス氏が2019年9月に気候変動対策への声明であるClimate Pledgeに調印し、2020年2月には100億ドルのベゾス地球基金を立ち上げたことは、前妻の行動からの影響が大きかったのではないかと考えられる。

*退任の理由は、Eメールに記載されているように、気候変動対策への取り組みや宇宙事業であるBlue Originへの注力が指摘できる一方、アマゾンは巨大な影響力を背景として米国内でも批判をさらに強めており、議会対策、特に公聴会等への自らの出席等を後任に委ねたかったのではないかとも分析している。特に米国では、1月に入ってからのトランプ前大統領及び過激派支持者へのビッグテック企業による対応が「検閲」であると親トランプ支持層からは批判を集めており、この点は退任の背景として見逃せない。

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 昨晩の内容は、プレジデントオンラインで1週間後以内を目途に配信されます。

ゲストで参加いただいた方々、長時間にわたって聴いていただいた方々、本当にありがとうございました。

以上引き続きよろしくお願い申し上げます。

田中道昭

 

 

 

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