「テレビ東京WBSにコメンテーターとしてスタジオ出演」(通算26回目出演)

テレビ東京ワールドビジネスサテライトにコメンテーターとして昨日11月26日の放送でスタジオ生出演をいたしました(昨年3月末の初出演から通算26回目、4月の番組改編から通算10回目の出演)。

昨日は、「金融庁・財務省からの処分を受けてみずほ首脳総退陣」という突然の大きなニュースを受けて、まずは同行の問題点について解説いたしました。

「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」と金融庁の業務改善命令のなかで極めて厳しい指摘を受けたみずほ。単に問題点をコメントするだけでは主観的なものにとどまってしまうことを危惧し、「分析の本質は比較すること」という要諦に立ち返り、銀行業全体でデジタル化が課題となっているなかで、「世界一のデジタル銀行」(ユーロマネー誌)であるDBS銀行との比較分析についてお話しいたしました。

まずは、両行の売上、総資産を比較(以下、下部に示した図表ご参照)。みずほが売上では約2倍、総資産では約4倍と圧倒的に大きいことがわかります。

これに対して、次に両行の時価総額、一人当たりの税引き前利益を比較。今度は、DBS銀行が、時価総額では約2倍、一人当たりの税引き前利益では約5倍となっていることがわかります。

つまり、DBS銀行は、小さいが収益性高く市場の評価も高い銀行、みずほは、大きいが収益性低く市場の評価も低い銀行であると分析されます。

次に両行のより実態的な違いについて3つのポイントから考察。

【デジタル化の目的】について、顧客志向で有名なDBS銀行は、デジタル化の目的を顧客価値向上に置き、顧客との取引を拡大させ、収益を伸ばしてきました。それに対してみずほは銀行中心主義で効率性向上にとどまってきた。システム障害も経費削減が裏目に出たとも指摘されています。

【企業文化の刷新】は、デジタル化を成功させる必要条件と言われているなかで、DBS銀行はスタートアップ企業のようにスピーディーな企業文化に変革。大企業体質のままのみずほと対照的。「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」と金融庁の業務改善命令のなかで極めて厳しい指摘を受けたことも企業文化が問題であったことを端的に物語っています。

【変化への対応】については、中国の巨大IT企業、アリババやテンセント等の脅威にさらされてきたDBSでは「自らを破壊する、自己破壊」をモットーに掲げ、例外を設けず厳しい姿勢でデジタル化をやり切った。それに対してみずほは一連のシステムス障害への対応を見ても、自己防衛に終始してきた。金融庁からみずほに業務改善命令が出され、首脳総退陣となるなかで、みずほには、まさに自己破壊し、企業文化の刷新から手をつけ、顧客中心主義の銀行に生まれ変わることが求められていると思います。

昨日は、その他、米国でのブラックフライデーの状況、エシカル消費等についてコメントいたしました。

WBSコメンテーター陣5名の一人という貴重な機会を与えていただいているなかで、常に一回一回が勝負であるとグローバルな政治・経済・社会・テクノロジーや多業種の動向、多くの国内外企業の動向や製品サービスの動向をインプットし分析・評価、愚直に努力を積み重ねてきているつもりにはなっていますが、昨日はこれまでのなかでも最も難易度の高いテーマでコメントが求められることになり、より一層努力をしていくことが重要であることを痛感いたしました。みずほへのコメントも自らへの教訓と捉え、自らが常に自己維新を続けていきたいと思っております。

以上引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

田中道昭

【テレ東BIZでの昨日の番組配信】 → こちらから

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