コメンテーターとして出演しているテレビ東京WBS、昨日2月23日(木)天皇誕生日にスタジオ出演、ニュース解説をいたしました。
まず初めに、ロシアのウクライナ侵攻から1年、「対ロシア経済制裁の効果から読み解く変化する国際関係」について以下の鳥観図を策定・使用して解説いたしました。
経済制裁の効果を低減させている最大要因は、ロシアから中国やインドに原油が流れ、中東には石油製品として流れ、大きな抜け穴ができていること。また経済制裁後のロシアの「脱ドル」の動きに呼応して、中国は「ペトロ人民元」、即ち人民元での石油取引及び同通貨決済取引を拡大しようと目論んでいます。米国と距離を置き始めたサウジとの間で同取引を拡大。米国がロシアへの経済制裁にドル建外貨準備を「武器」として使用したことから、リスク対策として他通貨も決済手段としておきたいグローバルサウス諸国でも取引が拡大しています。BRICS、上海協力機構、東南アジア、さらに中東でも人民元取引を拡大させている中国。真の基軸通貨には国家への信頼が不可欠ななか、人民元にその資格はありませんが、少なくともロシアへの経済制裁効果低減と金融面での分断には威力を発揮していることに要注意です。こうして対露経済制裁の効果という視点でグローバルに国際関係を鳥瞰してみると欧米諸国の論理とは違った世界が見えてくるのではないかと思います。
次に「中国、ChatGPTの利用停止アリババやテンセントに指示」というニュースについて、以下の視点から解説いたしました。
中国当局がChatGPTの利用停止を指示した背景には、政府等への批判的回答を警戒するとともに生成AIの分野でも中国企業に覇権をとらせたいという思惑があると思います。グーグルと同様にAI企業を標榜し、検索・自動運転・生成AIにも注力してきたバイドゥが中国では最有力企業。既に昨年のAI会議から生成AIをテーマとし、ChatGPTの類似サービス開始も一早く宣言しています。警戒すべきはユーラシアグループの本年10大リスクの2位が「絶対的権力者」習近平、3位が生成AI等の「大混乱生成兵器」。2つがかけ合わされると、言論統制から国民の行動変容までできてしまうと見られている中、中国での利用には要注意です。
その他、ワークマン新業態成否のポイントなどについても解説をいたしました。
以上引き続きよろしくお願い申し上げます。
田中道昭
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