『東洋経済オンライン記事配信』:AppleとFacebookの「最高プライバシー責任者」が語るプライバシー対応
CES2020での数多くのセッションの中で確実に最も注目を集めた「Chief Privacy Officer Roundtable」の模様を中心に、米国のプライバシー重視の最新動向についてまとめました。
CES2020最大のテーマは、「データの利活用」と「プライバシー重視」を両立させていくこと。
本セッションが注目された背景には、近年のプライバシーを重視するアメリカの社会情勢と相まって、チーフプライバシーオフィサーという役職について関心が高まっていること、アップルが1992年以来28年ぶりにCESへ参加し、そのアップルのCPOが登壇したこと、個人データ流出などでプライバシー問題の中心にあるフェイスブックのCPOも登壇したことなどがありました。あわせて、日本の公正取引委員会にあたる連邦取引委員会(FTC)のコミッショナーが登壇したことも話題になりました。
私自身、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などのメガテック企業の「ビッグデータ×AI」の利活用に関連して、個人データの取り扱いやプライバシー対応に強い関心を持ち、このセッションに参加しました。
スピーカーによるパネルディスカッションのなかで、私が特に驚いたのが、プライバシー重視で高い評価を受けるアップルでさえも、規制当局からはプライバシー重視への取り組みがまだ十分ではないと示唆された点でした。
EUのGDPR(一般データ保護規則、2018年施行)の流れやアメリカでのさまざまなプライバシー問題などを受けて、2020年1月1日、カリフォルニア州CPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)が施行されました。カリフォルニア州は環境やモビリティにかかわる分野で先駆的な立法や政策を行っているとして有名な州ですが、アメリカには連邦レベルでは個人情報全般を保護・規律する法律が存在しない中、同州が他州に先んじてCPAを施行したことが注目を集めています。
さらに本セッションにも登壇した、日本の公正取引委員会に相当するFTCのコミッショナーは、連邦レベルでも同様の消費者プライバシー法が2021年に制定される可能性を述べています。
データの利活用については米国メガテック企業に大きく出遅れ、さらにはプライバシー重視の動きや法制度でも周回遅れとなっている日本にも、「データの利活用」と「プライバシー重視」を両立させていくという流れは、本年には一気に押し寄せてくるのではないかと予測しています。
アップルのプライバシー対応の詳細も明らかにされた本セッション。
本セッションや本記事の本質は2社の比較ではなく、プライバシー重視の流れがここまで来ているということです。本質を理解し先行して対応することが求められています。
お時間許す際に実際の記事をお読みいただければ幸いです。
時期はこちらから。
以上引き続きよろしくお願いいたします。
田中道昭